競輪には、1着か2着を獲得した選手がどのような戦法で1着か2着に入ったのかを示す「決まり手」があります。
決まり手について理解すると競輪のレース展開を読みやすくなるので、予想が当たりやすくなります。
そして、競輪では基本的に「差し」で1着が決まることが多い傾向にあると知っていましたか。
そのため、「一番差しが決まりやすい選手は誰か? を考えて1着を予想」→「その選手が1着に来るとしたら、どの選手が2着や3着に滑り込む可能性があるか? を予想する」この流れがおすすめ。
今回は、競輪の決まり手の意味や違い、決まり手をもとにレースを予想する方法をご紹介していきます。
競輪の決まり手とは?
決まり手から競輪のレース展開を予想する前に、まずは各決まり手の特徴を押さえましょう。
競輪における決まり手とは、
- 逃げ:最終周回開始時にホームストレッチラインを最初に通過した選手が、1着か2着に入る
- まくり:最終周回開始時にホームストレッチラインを最初に通過した選手を、最終4コーナーまでに抜いて、1着か2着に入る
- 差し:最終4コーナー通過後の直線で前を走る選手を抜いて、1着か2着に入る
- マーク:追い込み選手がマークしていた先行選手を抜けずに、2着に入る
以上の4種類があり、すべてのレースの1着と2着には、この4種類の決まり手のいずれかが付けられます。
例えば、2019年12月30日に立川競輪場で行われた「KEIRINグランプリ2019」の第11レースを見てみましょう。
上の画像のレース結果を見ると、4番車の佐藤 慎太郎選手が「差し」を決めて1着、3番車の脇本 雄太選手が「逃げ」を決めて2着になったことが分かりますね。
そして、このレースの出走表を確認すると、1着の佐藤選手は「追」2着の脇本選手は「逃」の脚質を持っていることが分かります。
つまりこのレースでは、4番車の佐藤 慎太郎選手が最終4コーナー通過後の直線で前を走っていた選手を抜いて、1着を獲得したレースと言えます。
「逃げ」:短距離の3・3バンクで出やすい
決まり手「逃げ」とは、レースが残り1周の時点で先頭を走るラインの先行選手が、後ろの選手に抜かされることなくそのまま1着や2着を獲得したときの決まり手のこと。
「逃げ」を得意とするのは、先行選手。他の選手よりも風の抵抗を受けやすいことから、残り1周を先頭を走り続けるための体力を持っています。
そのため、先行選手は距離の短い3・3バンクで逃げを決めやすくなっていますよ。
また、若手選手も体力があるので出しやすい決まり手です。
ちなみに、後ろのライン同士が潰し合いを行った場合は簡単に決まることもありますね。
出走表には「逃」と書かれており、脚質が「逃」「両」の選手に多い決まり手です。
「まくり」:選手の判断力が試される
決まり手「まくり」とは、残り1周の時点で真ん中~後ろを走っているラインの先行選手が、残り半周ほどで前にいる選手を抜いて1着や2着を獲得したときの決まり手のこと。
「逃げ」と比べた場合、レースの途中まで体力を温存できるのでレース中は少し楽に走行できます。
しかし、前を走る選手を抜き去るタイミングが難しく、自分よりも他のラインからの邪魔が入ることもしばしば。
最悪の場合、まくりを仕掛けようとしているライン同士が潰し合いを行うことも。
そのため、まくりを決める選手には判断力が必要です。
出走表には「捲」と書かれており、脚質が「逃」「両」の選手に多い決まり手となっています。
「差し」:体力を最後まで温存できる選手に多い
「差し」とは、ラインの番手や三番手の選手が、最後の直線で自分のラインの先行選手を抜いて1着や2着を獲得したときの決まり手のこと。
逃げやまくりと比べて、レース終盤まで体力を温存できるので、体力が若手選手より劣るベテラン選手でも決めやすいですよ。
しかし、差しで1着を獲得するためには、基本的には自分のラインの先行選手がレースで先頭を走っていることが絶対条件。
前を走る選手が抜かれてしまうと、後ろにつく自分まで負ける可能性が高まります。
そのため、差しは直線距離が長い500バンクで出やすい決まり手になっています。
出走表には「差」と書かれており、脚質が「追」「両」の選手に多い決まり手ですね。
「マーク」:差しが決まらなかったとき
「マーク」とは、ラインの番手や三番手の選手が、自分のラインの先行選手を抜けずに2着に入ったときの決まり手のこと。
「マーク」は2着専用の決まり手のため、1着の決まり手が「マーク」になることはあり得ません。
つまり、最後の直線で差しが決まらなかったときに出る決まり手になるわけですね。
出走表には「マ」と書かれており、脚質が「追」「両」の選手に多い決まり手ですよ。
競輪で一番多い決まり手は差し!
競輪の4つの決まり手ですが、出やすい決まり手と出にくい決まり手があります。
最も出やすい決まり手は、ズバリ「差し」! 下の表に、「1着における割合」「2着における割合」をまとめました。
決まり手 | 1着の割合 | 2着の割合 |
逃げ | 20% | 17% |
まくり | 25% | 15% |
差し | 55% | 30% |
マーク | 0% | 38% |
上の表の1着の割合を見ると、競輪のレース全体のうち、半分以上のレースは「差し」で決まっていることが分かります。
また、「逃げ」と「まくり」は出る割合がほぼ一緒になっていますね。
そして2着を見ると、「マーク」の割合が最も高く、次いで「差し」が多いです。
そのため、「1着は差し、2着はマーク」が一番出やすいと考えるででしょう。
しかし、1着の決まり手ごとに、2着の決まり手の出やすさは異なっています。
各1着の決まり手で、2着ではどの決まり手が出やすいのかをまとめました。
1着の決まり手 | 2着が逃げ | 2着がまくり | 2着が差し | 2着がマーク |
---|---|---|---|---|
逃げ | 0% | 5% | 30% | 65% |
まくり | 5% | 10% | 25% | 60% |
差し | 20% | 25% | 35% | 20% |
上の表を見ると
- 1着が逃げ→2着はマーク
- 1着がまくり→2着はマーク
- 1着が差し→2着も差し
となっていることが分かりますね。
しかし、先ほど説明したように1着で「逃げ」と「まくり」が出る割合は20〜25%でした。
そして、「差し」は1着では最も多く出ており、2着でも2番目に出る割合が高かったですよね。
つまり、最も多く出る決まり手は「1着が差し→2着も差し」と判断ができます。
実際のレースで検証してみましょう。今回は、2019年12月30日に立川競輪場で行われた「KEIRINグランプリ2019」の結果一覧を見てみましょう。
上の画像を見ると、全11レース中6レースで1着が「差し」を決めていることが分かります。
つまり、「差し」を得意とする追い込み型の選手を1着にすると予想を当てやすいと言えるわけですね。
差しが最も決まりやすい競輪場は?
選手たちがレースを行う競輪場は、開催場ごとに特徴が異なっています。バンクの長さやカント(バンクについている傾斜のこと)によって、選手が出しやすい決まり手があるわけですね。
そして、「差し」が最も出やすい競輪場は「宇都宮競輪場」。
宇都宮競輪場の特徴には、下記が挙げられます。
- 1周500mの「500バンク」
- 直線部がやや長い
- カーブのきつい扁平なバンク(角度は25°)
宇都宮競輪場では、直線距離が長いことから先行選手が不利なレース展開になりやすいです。
また、先行選手に追走する番手の選手すら後方から抜かれる「交わしの交わし」がよく出ることから、後方からの追い込みが決まりやすい競輪場でもありますよ。
追い込み型の選手を1着にして予想を組み立てよう!
競輪では「差し」が最も決まりやすく、追い込み型の選手が有利だと分かりました。
よって、追い込み型の選手を1着にして予想を組み立てると的中させやすいわけですね。
今回は、「差し」が最も決まりやすい宇都宮競輪場で行われたレースをもとに予想を立ててみましょう。ちなみに、出やすい決まり手がある競輪場を絞っておくと、的中精度が上がりますよ。
レースを立てる際はまずは、出走表を確認しましょう。
上の画像の出走表の基本情報には、出場選手の脚質が記載されています。そして、今回のレースに出場している選手の脚質は
- 「逃げ」が得意な選手:3名
- 「追い込みタイプ」の選手:4名
- 両方こなせる選手:0名
以上のように分けることができますね。次に決まり手を見てみましょう。
競輪では「差し」が最も多く決まるので、出走表の決まり手「差」の欄を確認します。
- 2番車・金子 兼久選手:5回
- 4番車・山田 雅之選手:3回
- 5番車・高橋 大輝選手:2回
以上のように、2番車の金子選手が直近4カ月では最も多く「差し」を決めていることが分かりますね。
そして、「逃げ」と「まくり」の欄を見ると
- 1番車・武田 和也選手:「逃」→8回、「捲」→2回
- 3番車・石黒 健選手:「逃」→2回、「捲」→0回
- 5番車・高橋 大輝選手:「逃」→0回、「捲」→6回
となっていますね。以上のことをもとにラインを予想すると
「14/527/36」の3分戦のライン予想ができます。
- 「14」:先(逃げ)-追
- 「527」:先(まくり)-追-追
- 「36」:先(まくり)-追
よって、残り1周の時点で先頭を走りそうな選手は1番車か3番車。
そして、残り半周あたりで勝負を仕掛けていくのは、5番車と言えますね。
そして、1番車と3番車の競走得点を見ると、
- 1番車・武田選手:83.51
- 3番車・石黒選手:81.70
となるため、競走得点の高さから1番車・武田選手が若干有利と言えます。
そして、1番車の後ろを走る番手に付けているのは、4番車の山田選手。山田選手は、
「差」→3回、「マーク」2回
を決めています。差して1着を獲得することと、差しに失敗して2着になることが同じくらい起こることが分かります。
さらに、山田選手は出場選手のなかで最も競走得点が高い「87.92」。したがって、今回のレースは4番車・山田選手が1着になる可能性が高いと予想ができますね。
また、差しの回数が選手のなかで最も多く、競走得点も2番目に高い金子選手も車券に絡んできそうだと予想できます。
したがって、三連複の場合「1=2=4」になりそうですね。では実際に、レース結果を見てみましょう。
レースの結果は、
- 4番車:山田選手
- 2番車:金子選手
- 1番車:武田選手
と予想通りの結果となりました。
以上のように、決まり手を他の数値と合わせることで、レース展開を予想することができますよ!
【注意】同じ脚質でも得意な決まり手は異なることもある
競輪選手では、同じ脚質でも得意な決まり手は異なることもあります。「決まり手」の欄はしっかり確認して、選手の得意パターンを確認しておきましょう。
出場選手のうち、同じ脚質である4番車・植原選手と6番車・取鳥選手の決まり手の成績を見ると
- 4番車・植原 琢也選手→「逃げ」:6回、「まくり」:7回
- 6番車・取鳥 雄吾選手→「逃げ」:6回、「まくり」:2回
という違いがありますね。よって、植原選手は、「まくりが得意な先行タイプの選手」だと分かります。
反対に、取鳥選手は「逃げが得意な先行タイプの選手」だと分かります。
まとめ:競輪では「1着が差し→2着も差し」で予想を立てよう!
今回は、競輪のなかで最も多い決まり手に関してご紹介してきました。
〜決まり手のまとめ〜
- 逃げ:最終周回開始時にホームストレッチラインを最初に通過した選手が、1着か2着に入る
- まくり:最終周回開始時にホームストレッチラインを最初に通過した選手を、最終4コーナーまでに抜いて、1着か2着に入る
- 差し:最終4コーナー通過後の直線で前を走る選手を抜いて、1着か2着に入る
- マーク:追い込み選手がマークしていた先行選手を抜けずに、2着に入る
競輪における決まり手では、最も多く決まるのは「差し」で、追い込み型の選手が有利になってきます。
さらに「差し」を決めた選手が1着の場合、2着には同じ「差し」を決めた選手が入っています。
したがって、「1着が差し→2着も差し」となりそうだと読めたレース展開では的中する可能性が高いでしょう。
ぜひ、「差し」を決める追い込み型の選手を1着にして予想を組み立ててみてくださいね!